上庄里芋「えびす講によせて」

 朝からの曇りに混じり小雨の降る肌寒い一日でした。おかげ様でこの処頑張って毎日
働いています。(本当は当たり前なのですが・・・・)

先日福井出身の友人のご実家から上庄里芋を頂戴致しました。一度煮っ転がしを試食
させて貰ったのですが、その味が忘れられなくておねだりしてしまった次第です。

 さて、早速丸ごと蒸し上げるとつるりと皮が剥けるのです。いとも簡単に準備が整い先ず
は裏ごしして昆布出汁・塩・味醂・酒で薄く味付けをして、口取り用の揚げ物に仕上げまし
た。これは少しお醤油を多めに入れているので、揚げた時の香ばしさが堪りません。

 (ついつい、一つ二つ三つと箸が進んでしまいました)

 残り半分は卵白で繋ぎ、茶巾にして松茸のあんかけにしようと思っています。これはかな
り素晴らしい一品になりそうで、急ぎカナダ産松茸を購入しました。

 処で今月は神無月。古来からお留守番の恵比寿様のお祭りと共に、御馳走をふるまうな
らわしが各地にあるようです。

 私の幼少の頃も、祖母がとても恵比寿様を大切にしておりましたので、恵比寿講の夜は
近所の子供たちを大勢我が家に呼び、お赤飯・お頭付き・煮物・酢の物・お菓子にみかん
の盛り合わせが広間に用意されそれは楽しい一時でした。

 祖母曰く、神無月の始めを神様のお発ちと呼び、その日はお弁当を神棚にお供えして
出雲に送り出します。そしていざ恵比寿講の日に大御馳走をふるまう訳ですが、神無月
も終わり神々が戻られる日に、今度は里芋の皮を恵比寿様にお供えするのです。

 つまり神々の留守中に、自分だけ贅沢したと悟られない為の演出なのです。子供心に
はそれがとても面白くて、毎年食い入るように聞いた事が懐かしいですね。

 働きもので、綺麗好き・料理上手の祖母の心をこの里芋に託してみました。
b0129553_20301895.jpg

[PR]
by hossoge | 2008-11-12 20:32 | 料理

料理研究家・鈴木雅之の綴る四季の料理と暮らし


by hossoge